こんにちは。はすみ歯科クリニック歯科衛生士の追立です。
近年日本各地で発生している自然災害。
大規模な災害は、いつどこで発生するか分かりません。
そこで、ご家庭で用意されている防災グッズ・非常用持ち出し袋に加えて頂きたいのが、歯ブラシなどの口腔ケアグッズです。
口腔ケア(オーラルケア)を怠ると、お口や体の健康にも影響が出ます。
今回は『災害時に便利な口腔ケアグッズ・少ない水でも出来る歯磨き』について
ご紹介します。
≪災害時にも口腔ケアが必要な理由≫
口の中が不潔な状態になってしまうと虫歯、歯周病、口内炎、口臭などの原因になるだけではなく、風邪やインフルエンザをはじめとした感染症のリスクも高くなります。
特に高齢者は誤嚥性肺炎などの呼吸器感染症が増加する傾向も見られます。
避難所での高齢者の肺炎は6割以上が誤嚥性肺炎と言われ、特に災害時は医療体制が混乱していることから、誤嚥性肺炎により亡くなるリスクがさらに高くなります。
熊本地震では約8割が災害関連死で亡くなっており、直接死の4倍に当たります。
※災害関連死とは、災害を原因とする避難所生活の負担や持病の悪化、エコノミー症候群による突然死など被災後の死亡の事をさします。
また避難先ではあまり水が使えなくなってしまうことで、口の中が乾燥してトラブルの原因になってしまう事の他にも、菓子パンや甘い物が供給されることが多く、特にお子さんは虫歯を発症しやすい傾向があります。
入れ歯を使っている方は痛みが出て食事をとれなくなり免疫力も下がる可能性もあります。
≪少ない水でも出来る歯磨きの仕方≫
◆水が少ない場合
①歯ブラシが半分浸かる程度の水(約30㎖)をコップに準備します。
② ①の水で歯ブラシを濡らしてから歯みがきをして下さい
③歯ブラシが汚れてきたら、ティッシュペーパーやノンアルコールタイプのウエットティッシュで歯ブラシの汚れを拭き取り、また歯磨き。これを数回繰り返します。
④歯磨きが終わったらコップの水を少量含みゆすぎます。
一気に含まず2~3回に分けましょう。
◆歯ブラシやコップがない場合
①ハンカチ、ティッシュペーパー、ノンアルコールタイプのウェットティッシュなどを指に巻きつけてから歯を拭い、汚れを取りましょう
②ペットボトルのキャップ1~2杯分の水かお茶で、舌の上やお口全体に行き渡るようにしっかりゆすぎます
※入れ歯が入っている方は、入れ歯は外し、ウェットティッシュまたは濡らしたティッシュやハンカチで汚れを拭き取りましょう
≪避難先でも活用出来る口腔ケアグッズ≫
非常用持ち出し袋の中に入れておきたい口腔ケアグッズをご紹介します。
・歯ブラシ
歯ブラシを備蓄している避難所は、そう多くありません。
虫歯菌などの感染を防ぐため、歯ブラシの共用はせず、家族全員分は揃えておきましょう。
歯ブラシは立てて保管が難しいので、穴が開いていたりと通気性のいいケースなどに入っている物だと安心ですね。
・歯磨きシート
水を使わずオーラルケアを行えるため歯磨きシートを入れておくこともおすすめします。
・液体歯磨きやマウスウォッシュ
液体歯磨きには殺菌成分が含まれているため、お口の菌の増殖を抑えることに非常に有効です。
水でのゆすぎが不要であり、効果を発揮しやすいため、液体歯磨きは歯磨きをする前に使いましょう!
マウスウォッシュ(洗口剤)の場合は、効果を発揮しやすい歯磨き後に使いましょう!
・キシリトールガム
ガムを噛むとたくさん唾液が分泌されます。それにより口の中の汚れを洗い出します。
またキシリトールは虫歯菌の増殖を抑える効果があり、虫歯の予防効果も期待出来ます。
お口をキレイに保つ働きのある唾液を出すことは非常に重要なため、唾液腺マッサージもおすすめです。
①耳下腺マッサージ
両頬に指を当て、上の奥歯あたりを指全体で円を描くようにマッサージしていく。
②顎下腺マッサージ
両手の親指を顎の骨の内側柔らかい部分(くぼみ)に当て、耳の下から顎の先あたりまで5カ所程を目安に軽く指で押していく。
③舌下腺マッサージ
顎下の中央の柔らかい部分に、両手の親指をくっつけ、10回ほど上方向にゆっくり押し上げる。
※各マッサージは5~10回繰り返すと効果的です。
液体歯磨きやマウスウォッシュなど使用期限がある物は、使う⇔補充を繰り返し常に1つ未開封の在庫を確保しておく「ローリングストック」で備蓄しておくことをおすすめします。
そうしたことからも、日常生活に防災を取り込んでいくことがスタートします。
お口は体への入口です。
そのため口腔環境の乱れは全身の健康へと大きく影響を及ぼすため、
お口を清潔に保つことは健康維持や命を守るために重要です。
防災グッズの中に、是非オーラルケア用品の準備をお願いします。